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論文原稿:素粒子の相互作用について. II.Paper draft: On the Interaction of Elementary Particles. II

OU1937-A8 (15ページ) 日付:1937年11月9日

坂田昌一との共著論文「On the Interaction of Elementary Particles. II.」の原稿で11月9日、速達で数物学会事務局に送付している。これはその時手元に残したもので、多くの箇所(原稿の裏も含めて)に手書きの追加文章、式が挿入されている。論文の最終版の原稿ではない。この論文の内容は、9月25日の日本数学物理学会大阪支部常会で発表された。坂田昌一が書いた原稿(史料OU1937-A5)をもとに第2節から第4節が書かれている。第1節、第5節は湯川が独自に書いたようである。論文の最終版は史料OU1937-A9 を参照されたい。

湯川が1934年に投稿、1935年に出版された最初の論文「On the Interaction of Elementary Particles. I.」で導入された新しい粒子(重量子、のちに中間子と呼んでいた)の理論の展開である。1936年、宇宙線の観測で見つかった新粒子が湯川の重量子かもしれないという予想のもとに、重量子はスカラー場であると仮定し、陽子、中性子との相互作用を詳細に分析している。最初の論文を書いて以来、湯川は9編の論文を少し異なる課題で書いたが、この論文で再び中間子を正面から取り上げるようになった。宇宙線観測で新粒子の存在が明らかになり、湯川は核力の説明に新粒子を導入するという考え方そのものに確固たる自信を持ったに違いない。(文: 細谷 裕)

史料提供:京都大学 基礎物理学研究所 湯川記念館史料室 (s02-04-017)
OU1937-A8-s02-04-017
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