YUKAWA MINDTopics

史料から読み解く湯川秀樹

湯川秀樹の筆跡から読み解く人物像

湯川秀樹はどのような人物だったのでしょうか。その人物像を、湯川秀樹の筆跡から診断いただける機会に湯川記念室は恵まれました。

筆跡診断を行う新倉ビジネスサービスの新倉氏のご協力により、湯川秀樹自筆のはがきから推察される人物像について、ここに掲載いたします。

「湯川秀樹先生自筆ハガキ」筆跡から読み解く人物像(解説文) 

筆跡診断の場合、書かれた文字の用紙における配置や大きさなど、いわゆる章法上の特徴とともに一字一字の特徴を見ることにより総合的に判断します。まずハガキ表面全体を俯瞰すると最初に目に付くのは、差出人の記述が一切なく差出人欄にまで宛名が記載されていることです。またハガキ裏面にも差出人の住所が記載されておりません。

一般的に差出人と受取人が親しい間柄の場合、差出人の住所は既知であるとして省くこともあります。ただその場合であってもハガキ表面一面に宛名を記載するのは、いわゆる形式にこだわらない自由さの表れといえるでしょう。同様に全体に流暢な行書体/草書体で書かれているなかで「豊」「内」などは楷書体で書かれており、書体にとらわれない筆記をされておられます。宛名をハガキ一面に大書きする書き方は明治時代の文人には多かったようで「石川啄木」のハガキなどにもみられます。ハガキ表面全体の字は総じて「大字型」といえ筆跡診断の世界では自由で大胆かつ天真爛漫な方に多いとされています。

次に一字一字の特徴について診てみます。

筆跡診断において一字一字の接筆部や転折部は特に重要です。例えば「口」の字は初めて字を習ったとき各接筆部はきちんと閉じ、各転折部(角部)はきちんと角張るように教わります。ところが長じるとともに融通性や協調性が身につき、いろんな書き方を認めるようになり、接筆部が開くことに抵抗を感じないようになります。かといって完全に開くことに抵抗を感じる者も出るでしょう。その開き具合から「接筆閉型」「接筆開型」「接筆あいまい型」といった型が生まれます。また同様に長じるとともに角部(転折部)が丸まっている字を見なれてきても、教わったことを決まり事として受け入れ「角部」をきちんと角張らせる者もいれば、多少のルール違反であっても書きやすい書き方として角部を丸く書く者も出てくるでしょう。ちょうど人が横断歩道をどのように渡るか、によってその人の性格が推測できることと類似しています。

筆跡診断では「接筆」から思考の融通性を、「転折」から思考したことを実際にそのように行動するかを読み解いています。湯川先生の場合「接筆」においても「転折」においても各型が混在しており、思考についても行動においても融通無碍であることが読み取れます。これらは人間関係においては時と場合に合わせた柔軟な対応が取れることにつながります。

ここで留意すべき点があります。上記に挙げた「字」はいくら自由であっても「字形」として破綻しているものはない、ということです。筆跡特徴の型の中に「超越字型」と呼ばれる他人には読めない字型があります。これは、字を自分勝手に省略したり崩したりする書き方であり、戦国武将の「織田信長」の筆跡に見つけることができます。このような人は自己流のやり方を強引に押し通す面がありますが、湯川先生の場合は融通無碍ではあっても、自己流のやり方を周りの反応を顧みず押し通す方ではないことが窺い知れます。

次に各字の「線」の性質に着目してみます。単なる「連綿体」ではなく、次の字や字画へ移動する途中も同じ太さで移動する「強連綿体」がハガキ表面の「部」や裏面の「編集」にみられます。こういった書き方は強い線を持続させることから集中力に優れ、ゆるぎない自信がなければなかなか書けません。織田信長や大石内蔵助、宮本武蔵に見受けられる特徴です。

ハガキ表面の「部」にみられる「縦線下部長突出型」は徳川家康の筆跡によく現れるように粘り強く最後までより良い結果を出そうとする人に良く見受けられます。続いて文字の「ハネ部」に着目すると、ハガキ表面の「号」は「ハネ弱型」、「内」は「ハネ強型」と捉えることができます。「ハネ弱型」は筆跡診断の世界では長年の診断実例により、次々に仕事をこなし手早くスマートに対応できる能力を持っており、あきらめが早くさっぱりした性格とされています。一方「ハネ強型」は粘り強く責任感に富み、あきらめない意志の強さがあるとされています。つまり相反する性格が同居し、自己矛盾をどこか抱えておられたのではないでしょうか。ハガキの表面の「様」にみられる「左払い長型」は存在そのものが華やかでスター性のある方に多く見受けられます。さらにハガキ表面の「部」にみられる「横線左方長突出型」は聖徳太子、真田幸村、大久保利通の筆跡に多く見られ、頭の回転が速く人目を引く才能と華やかな雰囲気を併せ持った方とされております。

次に字の姿勢に着目してみます。ハガキ表面の「内」の字は、下部に行くほど狭まる「下狭型」とよばれる筆跡特徴です。「下狭型」は筆跡診断においては、不安定で芸術的センスがあるタイプと言われております。このタイプの方は誰も思いつかない独自発想を持ち、斬新なアイデアを生み出す人にみうけられるとされております。なお、読めないことはないが自己流の崩し字である「変形字型」も同様な傾向が見られます。

日本筆跡診断士協会 認定 筆跡診断士

新倉ビジネスサービス 代表 新倉 弘之

BACK TO INDEX