Updated 4 November 2005

ようこそ、「最先端の物理を高校生に」

プログラム のコーナーです




授業の構成

授業は毎回3時間で、つぎの三部構成で行います。

基幹講義 自然界の様々な世界を訪ねます 80分
コーヒーブレイク 展示、交流、Q&A 約40分
実践講義 物理 in ハイテク、ゲーム、クイズ 約60分

6回の授業のうち1回(11月12日)は最先端研究施設の見学です。

スケジュール

10月22日 豊中キャンパス、シグマホール
入学式
基幹講義 自然界の基本の力、法則を観る 藤田 佳孝 大阪大学理学研究科
コーヒーブレイク 光で覗く原子と量子の世界 松多 健策、福田 光順 大阪大学理学研究科
実践講義 物理ゲーム: 秩序とゆらぎの世界の体験 菊池 誠 大阪大学サイバーメディアセンター
10月29日 豊中キャンパス、シグマホール
基幹講義 分子世界への旅立ち 木下 修一 大阪大学生命機能研究科
コーヒーブレイク 超伝導と低温の不思議世界 北岡 良雄、椋田 秀和 大阪大学基礎工学研究科
実践講義 量子世界でのレーザー通信 井元 信之 大阪大学基礎工学研究科
11月 5日 豊中キャンパス、シグマホール
基幹講義 時空間への旅立ち 福江 純 大阪教育大学教育学部
コーヒーブレイク 浮遊する不思議な構造-Tensegrity- 今井 克彦 大阪大学工学研究科
実践講義 宇宙から観る雷放電 河崎 善一郎 大阪大学工学研究科
11月12日 吹田キャンパス(工学部U2講義棟 1階集合) 会場道順   バス時刻表
施設見学 (工学研究科、核物理研、レーザー研)
梅田直哉(大阪大学工学研究科)、畑中吉次(大阪大学核物理研究センター)、
河仲準二(大阪大学レーザーエネルギー学研究センター)
11月19日 吹田キャンパス(工学部U2講義棟 312教室) 会場道順   バス時刻表
基幹講義 宇宙への旅立ち 常深 博 大阪大学理学研究科
コーヒーブレイク 人にやさしいパワーアシストスーツ 池田 雅夫、高橋 亮一 大阪大学工学研究科
実践講義 極微な力で探検する原子の世界 森田 清三 大阪大学工学研究科
11月26日 豊中キャンパス、シグマホール
基幹講義 原子核、素粒子の世界への旅立ち 久野 良孝 大阪大学理学研究科
コーヒーブレイク ロケットエンジンと人間を支援するロボットの最先端 辻本 良信、宮崎 文夫 大阪大学基礎工学研究科
実践講義 超電導リニアの技術開発 白國 紀行 JR東海
修了式


基幹講義

自然界の基本の力、法則を観る 藤田 佳孝 大阪大学理学研究科
分子の世界への旅立ち 木下 修一 大阪大学生命機能研究科
時空間への旅立ち 福江 純 大阪教育大学教育学部
宇宙への旅立ち 常深 博 大阪大学理学研究科
原子核、素粒子の世界への旅立ち 久野 良孝 大阪大学理学研究科


自然界の基本の力、法則を観る (藤田 佳孝)

Tu1

自然界の広がりと、力、保存則を観る!

自然界の広がり
四つの力(=相互作用)
力の性質
保存則


詳しくは、 こちらへ


分子の世界への旅立ち (木下 修一)

・・・  分子に光があたると、分子内部の原子の動きで、光はその振動数をわずかに変えて放出される。  ・・・  中には電子とエネルギーのやりとりせずに色を造るものもある。 モルフォチョウという強烈な青色を放つ蝶もその1つの例である。 この現象には、蝶の翅(はね)の表面を覆う鱗粉上にある、100ナノメートルサイズの複雑な構造が関係している。  ・・・ 

Ki2

詳しくは、 こちらへ


時空間への旅立ち (福江 純)



詳しくは、 こちらへ


宇宙への旅立ち (常深 博)

2005年夏に打ち上げられた日本のX線観測衛星Astro-E2
画像:NTspace/JAXA

Tu1 肉眼で夜空を見上げる限り、宇宙は暗黒で静かな世界に見えます。しかし、実際 には絶対零度に近い状態から何千万℃にもなる温度範囲の状態や温度では表せな いような状態など、変化に富んでいます。 150億年前の宇宙の始まりであるビッ グバン以来、炭素、窒素、酸素などいろいろな元素が太陽のような星の中で作ら れ、超新星爆発などを通して宇宙を循環しています。

300年ほど前に起きた超新星の残骸のX線像
画像:NASA/CXC/GSFC/U.Hwang et al.


その材料を使って、太陽や地球のような星が出来ました。 宇宙には今もいろいろな循環が激しく起こってい ます。この一番激しい流れを捉えるため、人工衛星を使って大気の外から観測し、 高温状態から発生するX線による研究を重ねています。人工衛星の説明を含めて、 どんなことがどうして判ったか、さらにはこれからどんな研究を目指しているの かなどを最新のデータを元に話します。



原子核、素粒子の世界への旅立ち (久野 良孝)

  物質の階層構造    

Ku1

さまざまな種類のクォークとレプトン  


古代ギリシャ時代の昔から、われわれ人類は、物質の究極的な構造やその根源について 究めたいという好奇心を持ちつづけてきました。

20世紀になって、アインシュタインの相対性理論やハイゼンベルグなどの量子論の物理学が発展しました。 それによって、ミクロな世界へのわれわれの知見が非常に深まってきました。 その成果は、クォークやレプトンなどの素粒子の物理研究として、まとまり、さらなる研究が進んでいます。

 宇宙創成初期での素粒子と
 素粒子の間にはたらく力の関係




また、最近、この原子核や素粒子のミクロな世界の研究が、 われわれの宇宙の創成やビッグバンなどの宇宙の研究と強いつながりがあることが分かってきました。 極微の素粒子の世界の研究、そしてミクロからマクロな宇宙の研究までの旅立ちについて、 お話ししたいと思います。





コーヒーブレイク

光で覗く原子と量子の世界 松多 健策、福田 光順 大阪大学理学研究科
超伝導と低温の不思議世界 北岡 良雄、椋田 秀和 大阪大学基礎工学研究科
浮遊する不思議な構造-Tensegrity- 今井 克彦 大阪大学工学研究科
人にやさしいパワーアシストスーツ 池田 雅夫、高橋 亮一 大阪大学工学研究科
ロケットエンジンと人間を支援するロボットの最先端 辻本 良信、宮崎 文夫 大阪大学基礎工学研究科

光で覗く原子と量子の世界 (松多 健策、福田 光順)

 空にかかる虹で経験するように、私たちの身のまわりの光は いろんな色の成分(スペクトル)から成ります。 プリズムなどを用いた分光計を使ってスペクトルを分解してみると、 太陽からの光は連続的だけれど、原子の発光や蛍光灯の光のスペクトルの中には とびとびのスペクトルが見られます。この事は、量子力学の誕生・発展の契機に なり、また、原子の中の構造を調べる手段になってきました。 ここでは、回折格子を用いて、簡単な分光計を自作してみましょう。 原子・量子の世界をちょっぴり覗く事が出来ます。


超伝導と低温の不思議世界 (北岡 良雄、椋田 秀和)

1986年、IBMチューリッヒのベドノルツとミューラーが La-Ba-Cu-Oペロブスカイト系銅酸化物において、30Kの超伝導を発見しました。 その新しい物質群の発見により超伝導転移温度の記録は次々と塗り替えられ(図1)、 数年間にわたり高温超伝導探索のフィーバーが続きました。 「室温超伝導」を夢見ていた時代から、現実にすぐそこにそれがあるのではないかと 期待できる時代へと移り変わったことでも、画期的な発見でした。 しかし、2005年現在、水銀系銅酸化物において高圧下での160Kの転移温度が最高記録であり、 今だそれを凌ぐ超伝導体はまだ見つかっていません。 最近、金属系の超伝導としては最高の超伝導転移温度(約40K)を もつMgB2が発見され大きな話題となり、多くの研究者がそれぞれのオリジナルな指針をもとに物質を探索する、 新しい物質探索時代に入っています。 世の中に室温超伝導体がもしあるとすれば、その物質は発見されるのを今もじっと待っているはずです。

図2は初めて液体窒素温度(77K)を超えた高温超伝導体YBa2Cu3O7です。 超伝導特有の性質である完全反磁性(マイスナー効果)により超伝導体の上に磁石が 浮いていることを示す実験です。






その他、液体窒素を使って空気中の酸素を液化して性質を見てみます(図3)。 液化酸素は薄い青色をしており、液体酸素に漬けた線香は激しく燃えます。さらに面白いことに、 その液体は磁石の性質(常磁性)を帯びているため、磁石に引き寄せられます。 このような低温で現れる不思議な物理現象を一緒に楽しみながら見ていきます。


浮遊する不思議な構造 -Tensegrity- (今井 克彦)

 テンセグリティーは、建築家・科学者・哲学者であるB.フラーによって提唱されたものです。テンセグリティーは、図-1に示すように張力材の海に浮かぶ圧縮材と詩的に形容される構造です。張力と圧縮力が釣り合って安定な構造を作っています。およそ形あるものは、生物、宇宙も含め「張力と圧縮力のバランス」という力学原理により成り立っています。
 生物では、細胞内外のタンパク質などで、力学的に釣り合った構造を作り外圧に耐えます。細胞研究の構造モデルとしても応用されています。人体が安定しているのも筋肉や腱による張力とこれにバランスする圧縮力を骨が受け止めているからです。
 また、テンセグリティーは、その構造効率の良さから建築構造や宇宙構造への適用が世界中で研究されています。
 ワークショップでは、建築構造への実用化を目指して研究している実大モデルを実際に組み立てていただきます。

 詳細は、  こちらへ


人にやさしいパワーアシストスーツ (池田 雅夫、高橋 亮一)

 人体に装着し、人間の動きに追従する様に動作し、筋力を補助する装置であるパワーアシストスーツは、福祉・介護、レスキュー、重労働作業、あるいは、筋力の補助だけでなく拘束することにより筋力トレーニングやフォーム矯正といったスポーツ分野など多方面の応用が期待されています。 しかし、モータとギア、金属フレーム等で構成するハードなメカトロニクスを用いたパワーアシストスーツでは硬い・重い・力が強すぎるなど、人間と動作環境を共にするのは危険です。大阪大学大学院工学研究科機械工学専攻制御工学研究室では、人間との親和性を持つ、運動の50%程度のアシストが可能なソフトメカトロニクスの考えに基づく空気圧式ラバーアクチュエータを用いた人に優しいパワーアシストスーツの開発を目指しています。

 詳細は、  こちらへ


ロケットエンジンと人間を支援するロボットの最先端 (辻本 良信、宮崎 文夫)

自然界の「物理」法則に従って、自然界に存在しないもの(人工物)を創り出すこと―これが「工学」の原点です。 こうして創造された人工物には、様々な力学的問題や不安定現象が生じることがあります。 これらの原理を解明することで、さらに新しい人工物を生み出すことができるようになるとともに、 その過程を通して、自然界に存在する非人工物(生き物、特に私たち人間自身)の理解も深まります。 最終回のコーヒーブレイクでは、 大阪大学基礎工学部システム科学科機械科学コース で精力的に開発に取り組んでいる2つの人工物「ロケットエンジン」と「ロボット」の実験設備と 最新の研究成果を実際に見学していただき、最先端工学技術に生きる「物理」の姿を 肌で感じてもらおうと思います。乞うご期待!
       詳細は、  こちらへ
[見学内容の詳細]


実践講義

物理ゲーム:秩序とゆらぎの世界の体験 菊池 誠 大阪大学サイバーメディアセンター
量子世界でのレーザー通信 井元 信之 大阪大学基礎工学研究科
宇宙から観る雷放電 河崎 善一郎 大阪大学工学研究科
極微な力で探検する原子の世界 森田 清三 大阪大学工学研究科
超電導リニアの技術開発 白國 紀行 JR東海

秩序とゆらぎの世界の体験 (菊池 誠)

 H2Oという分子が集まった液体である水は、摂氏0度以下で 固体の氷になり、100度以上で気体の水蒸気になります。同じ分子 が集まってできているのに、まったく違った性質を持つ物質になるのはなぜでしょう。 これは、分子同士はきちんと並ぼうとする性質を持っており、一方、 「熱」には分子の整列を乱そうとする性質があるからです。私たちの身の回りには、 このように「秩序」と「ゆらぎ」がせめぎ合うことによって生じる現象が いろいろと見られます。この講義では、そのような例をコンピュータ・シミュレーションや 実験映像などをまじえながら見ていきましょう。参加者自身に分子 になってもらって、「秩序」ができる様子を体験してもらうゲームも行います。


量子世界でのレーザー通信 (井元 信之)

量子力学は「不確定性原理」や「粒子が波として干渉する」など、 日常の理解を超えた不思議な法則の力学です。それを直接感じることは普段はありませんが、 近年の技術の進歩により研究者は身近に経験することができるようになりました。 これらの不思議な性質を積極的に利用すると、実は今のコンピューターにできない 新しい情報処理や通信が可能になります。その研究はここ数年世界的にも急速に 立ち上がったのですが、阪大は最先端を行っています。 この実践講義ではレーザー(安全なものです)や偏光板などを使って 量子情報処理の世界を垣間見ていただくとともに、図、表、写真などを使って、 量子情報理論という難しい分野を少しでも平易に紹介したいと思います。


宇宙から観る雷放電 (河崎 善一郎)

 1997年11月28日に打ち上げられた熱帯降雨観測衛星(TRMM)には、 降水様相を宇宙空間から測定するPR、雷活動を測定するLIS、 雷雲からの放射を測定するTMI等、五つのセンサーが搭載され、 南緯35度から北緯35度の範囲の宇宙からの観測を可能としている。 この衛星の目的は、温暖化しつつあると考えられている、 我々の「青い惑星」を継続的に監視し、砂漠化の進む熱帯地方の降水や 雷活動の年毎の移り変わりを明らかにするところにある。 そして大阪大学雷研究グループは、LISの主研究者として TRMMプロジェクトに参加、東南アジアの観測結果を中心に解析を進めており、 エルニーニョ期の雷活動に興味ある傾向を見出している。 本ミニレクチャーでは、衛星観測の詳細を解説するとともに、 最近明らかにされている現象について紹介する。
 詳細は、  こちらへ


極微な力で探検する原子の世界 (森田 清三)

 ナノスケールの小さなものを扱う究極のナノテクノロジー、それは、個々の原子を自在に操る技術です。それは、個々の原子を見て、測って、動かして、ナノスケールのものを自在に組み立てる技術です。
 極微な力で原子の世界を探検する。それでは、いま、極微な力で個々の原子を触って観て何が判るか?何が出来るか?
(1)原子と原子の間に働く極微な力で原子を触って観て、元素を区別することが出来ます。
(2)原子と原子の間に働く極微な力で原子を触ると、異なる元素を入れ替えて、異なる元素を埋め込んだ原子文字を描くことも出来ます。
 極微な力で、個々の原子を触って観る、触って動かす。一緒に、原子の世界を訪問して、極微な力で原子の世界を探検したいと思います。

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超電導リニアの技術開発 (白國 紀行)


超電導リニア、それは世界に誇る日本独自の先端技術です。 2005年3月に国土交通省の超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会に おいて「実用化の基盤技術が確立したと判断できる」という高い評価を受けました。 「超電導」とは、ある種の金属、合金、酸化物を一定温度以下にしたとき、 電気抵抗がゼロになる現象を言います。 一度電流を流すと永久に流れ、しかも極めて強い磁界が得られます。
「リニアモーター」とは従来の鉄道車両の回転式のモーターを直線(リニア)状に 引き伸ばしたもので、内側の回転子が車両に搭載した超電導磁石、 外側の固定子が地上に設置される推進コイルに相当します。 鉄車輪と鉄レールとの摩擦を利用して走行するのではなく、 超電導磁石と地上のコイルとの間の磁力によって非接触で走行します。 500km/hの超高速走行が可能な地上で最も早い乗り物、 超電導リニアの技術開発の現状をお話したいと思います。
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