時空間への旅立ち (福江 純)
相対論が果たした役割−ぼくたちは相対論的世界に住んでいる
1. はじめに
2.特殊相対論と一般相対論
一口に相対論(相対性理論)と言っても、大きく分けて、
運動に関する「特殊相対論(特殊相対性理論)」と、
重力に関する「一般相対論(一般相対性理論)」とがある。
3.常用される特殊相対論
前者の特殊相対論は、アインシュタインが1905年に提案したもので、一言でまとめれば、
★時間と空間を時空として統一した
★エネルギーと物質を統一した
理論である。運動速度が光速に近い領域でその効果が顕著になる。
一方、後者の一般相対論は、アインシュタインが1915年から1916年にかけて完成したもので、
★時空とエネルギー・物質を統合した
理論である。非常に重力が強い領域でその効果が顕著になる。
特殊相対性理論は、素粒子物理学や加速器実験、太陽エネルギーや高エネルギー宇宙現象の解明など、今日では、物理学や天文学のさまざまな場面で当たり前のように 利用されている。特殊相対論が重要な枠割りを果たす現象について概観したい。
4.太陽系近傍の弱い一般相対論的現象
自然界において、とくに重力が重要になる宇宙において、一般相対性理論も実にさ まざまな場面で重要な役割を果たしている。以下では、便宜上、重力が弱い太陽系近 傍の話と、ブラックホールその他の一般相対論的な宇宙現象、そして宇宙全体の問題 とにわけて紹介しよう。
5.活動する宇宙の背後にある一般相対論
第二次世界大戦後にはじまった「電波天文学」や1970年代ぐらいから発達した「X 線天文学」など、電波やX線という見えない光で宇宙を眺めるようになってから、宇 宙は非常に騒々しくて激しく荒々しい場所であることがわかってきた。またそのよう な激しい活動の背後には、まさに黒幕としてブラックホールが控えている場合も少な くないことがわかってきた。ここでは究極の相対論的現象であるブラックホールに代 表される強い相対論的効果を概観する。
6.宇宙観の大転換をもたらした一般相対論
相対論以前、宇宙は人知の及ばない、いわば神の領域だったのが、相対論以後、宇宙そのものさえも人の手の届く領域、科学の対象となったのである。
7.相対性理論を超えて
時間の遅れ
相対論的宇宙ジェット マイクロクェーサー
ブラックホールX線連星の模式図