第2回(10/20)のコーヒーブレイク
「熱い氷は存在するか」
清水克哉(大阪大学基礎工学研究科)
物質の性質は環境によって著しく変わる

 例えば、温度を下げることで、気体は液体になり、液体は固体になります。または、温度によって、電気を通しやすくなるものや、逆に通しにくくなるものもあり、「温度」は、物質の性質を左右する「環境」変数といえます。「温度」のほかにも「圧力」や「磁場」も(普段はあまり馴染みがないかもしれませんが)物質の性質を左右する重要な環境です。
 これらの変数のうち、「圧力」が生み出す物質の姿を紹介します。地球上で最も硬い物質といわれているダイヤモンドを使った装置を用いて、水に圧力を加えてみます。すると水は固体に変化して氷になりますが、これは冷たい氷にはなりません。
熱い氷    冷たい氷
 物質は一般的に知られている性質のほかにも、意外な性質をもっています。その知られざる可能性を引き出すのが「極限物性物理学」です。物質の隠れた可能性を引き出し、さらには普遍的な法則を探っていく学問です。
 まだ見ぬ世界で物質はどんな表情を見せるのでしょう? アッと驚く夢の物質が生み出されるかもしれません。物質の持つ特性をくわしく研究し、さらに圧力や温度などの条件の試行錯誤を重ねれば、夢の物質が身近になる日も、そう遠くないかもしれません。


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