第6回(11/21)の基幹講義
「原子核素粒子の世界への旅立ち」
橋本幸士(大阪大学)
この世のすべてを記述する式
  我々の宇宙と物質世界は、すべて、「素粒子」と呼ばれる小さなツブで出来ていると考えられています。素粒子は現在のところ17種類が確認されていますが、それぞれの種類の素粒子がどのように運動するか、は運動方程式で支配されています。これらの運動方程式は統合され、一つの方程式になります。つまり、宇宙をはじめ、この世界の全ての現象は、たった一つの式で支配されているのです。この式は、「素粒子の標準模型」と呼ばれています。
 この事実は、人類が現在まで科学の基礎を掘り続けて到達した、知識の金字塔です。本講義では、まず、この式がどんな式なのかを見てみましょう。式はいくつかの項から成っています。それぞれの項が、種類・重さ・「色」などの素粒子の性質、そして素粒子がどのようにくっついたり離れたりするか、などを表すことを学びます。
 それぞれの項が、理論的に予言され、幾多の実験で確認されるまでには、多くの物理学者のドラマがありました。湯川秀樹、南部陽一郎、小林誠・益川敏英、アインシュタイン、マクスウェル、ディラック、ヒッグス、...これらの物理学者と、100年間の多くの物理学者が研究の苦節の上にたどり着いた「この世のすべてを記述する式」を、覗いてみましょう。そこからは、これからの物理学のチャレンジが見えて来ます。
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