第3回(10/27)の基幹講義
「量子の世界への旅立ち」
芦田昌明(大阪大学基礎工学研究科)
光と電子の不思議
 物の大きさをどんどん小さくしていったら何が起こるでしょうか。原子や分子に達する前の大きさ、ナノメートル(十億分の一メートル)程度で、物質の振る舞いは大きく変わります。ナノテクノロジーという言葉を耳にした方も多いのではないかと思います。実は、ナノメートルの狭い空間に閉じ込められた電子は、粒としての性質だけではなく、波としての性質を示します。そこは量子力学が支配する世界です。例えば、同じ材料からできている微粒子でも、そのサイズに応じて色が変わる、すなわち光に対する応答が変化することが知られています。これは閉じ込められた電子の波(波動関数と呼びます)の波長が変わることによります。皆さんが目にするステンドグラスが色づく理由は、量子力学によって初めて解き明かされるのです。色ガラスの分光実験も交えて、皆さんを量子力学の世界へとお連れしましょう。
色ガラスの例
色ガラスの例 寒色系(青色系)がないが・・・

CdSeナノ微粒子の発光
CdSeナノ微粒子の発光 粒径を変えて様々な色を発生可能

空間に閉じ込められた電子の波動関数
長さLの(一次元)空間に閉じ込められた電子の波動関数
両端が節となる。4番目の振動状態まで示す


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