第1回(10/13)の実践講義
「はやぶさ」のサンプル分析から何がわかったか?
土`山明(京都大学)
 はやぶさは2005年に小惑星イトカワに到着し、様々な観測とサンプル採取をおこない、2010年6月に地球に帰還した。小惑星は惑星にまで大きくなれなかった小天体で、太陽系形成時の情報を残していると考えられている。サンプルは最大でも300 μm程度(ほとんどは10 μm以下)の微粒子で、2000個程度が見出されている。60粒子程度が国内の研究機関に配布され、初期分析がおこなわれた。サンプルは人類が小惑星からはじめて持ち帰ったサンプルであると同時に、アポロ計画やルナ計画によって持ち帰られた月のレゴリス(表土)に次ぐ、2番目の地球外天体のレゴリスでもある。LLという種類の普通コンドライト隕石に対応する物質であることがわかり、隕石の起源について最終的な解明がなされた。また、宇宙風化などの小惑星表面での様々なプロセスが見出され、太陽系史にわたる小天体の内部・表層活動史が明らかにされた。初期分析では、微小かつ微量のサンプルから、地球上での汚染を最小限にとどめながら、効率良く最大限の情報を得ることをめざした。これについても述べたいと思う。
イトカワの素顔

イトカワ粒子

サンプル分析でわかったこと


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