第3回(11/2)の基幹講義
「物質の世界への旅立ち」
森初果(東京大学)
面白くて役に立つ物質!
 約100年前、オランダの物理学者カメリン・オンネスは、水銀が-269℃以下で「ゼロ抵抗」となる現象を発見し、「超伝導」と名付けました。超伝導体は、電流を流しても発熱せず、高密度の電流を流せるので、強力な電磁石となります。この技術は、現在超伝導リニア新幹線や、医療用の磁気共鳴診断装置(MRI)に利用されています。また、超伝導リングに侵入する磁場を量子化し、その磁束を1本、2本と検出することができるため、僅かな磁場を捉えるセンサーともなり、脳や心臓の磁計測が可能です。
 それではどのような物質が超伝導体になるのでしょうか?応用に用いられているのは、主にニオブとチタンの合金で、液体ヘリウムで冷却して超伝導を利用しています。また、現在超伝導になる温度が一番高いのは、黒いセラミックの銅酸化物超伝導体です。さらに、無機物ばかりでなく、有機物にも超伝導になる物質があります。講義では、超伝導の磁気浮上を観測しながら超伝導の性質を学び、さらに単体元素、有機、無機化合物と、室温超伝導を夢見て行う物質開発の面白さを紹介します。
 図は、銅酸化物高温超伝導体を用いた人間浮上と、フラスコの溶液中で成長する有機物超伝導体です。
銅酸化物高温超伝導体を用いた人間浮上    フラスコの中で成長する有機超伝導結晶

左写真:銅酸化物高温超伝導体を用いた人間浮上、右写真:フラスコの中で成長する有機超伝導結晶


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