第2回(10/26)の基幹講義
「量子の世界への旅立ち」
小林研介(大阪大学理学研究科)
その発見から応用まで
 量子力学は20世紀前半に打ち立てられた、現代物理学の根幹をなす分野です。その基礎には、「物質は、波としての性質と粒子としての性質の両方を持つ」とか「エネルギーは連続的に変化するのではなく、飛び飛びの値になっている」などの驚くべき考え方があります。たとえば、電子は粒子のように振る舞うこともあれば、波のように振る舞うこともあるのです。これは、それ以前の物理学とは全く異なる考え方で、私たち人類の自然観に大きな変革をもたらしました。
 それでは、量子力学はどのようにして発見され、どのように発展してきたのでしょうか。今回の講義では、その端緒となった原子の分光の話を中心にしながら、人類がいかに量子力学を発見したのか、そして、人類がいかに量子力学を応用しつつあるのか、分かりやすくご紹介したいと思います。
 図は、ナノテクノロジーを利用して半導体上に作られた素子(大きさ数ミクロン程度)の電子顕微鏡写真です。この素子は、電子の波としての性質を精密に制御できる「電子波干渉計」です。
電子波干渉計


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