分子の世界への旅立ち
私たちは「レーザー顕微鏡」や「光ピンセット」を使って、 ナノメータ(10億分の1m)サイズの分子1個を“見る、 自由に操る”という 計測技術を開発してきた。 この技術を使うと、筋肉の収縮や脳内の物質の輸送に関わる 蛋白質であるアクチンとミオシンの働きを、詳細に調べること ができる。 アクチンとミオシンは、それらを取り囲むノイズの多い環境に 順応しながら、非常に効率よく働いていることがわかった。 そこがノイズを遮断するのに莫大なエネルギーをつぎ込んで いるコンピューターのような人工機械とは、決定的に異なる。 筋肉や脳がほとんど発熱しないのもこのおかげである。 生物が桁違いの省エネで働く仕組みを明らかにし、この原理を “ものづくり”に活かそうと考えている。