放射線医学利用最前線
  ニュースなどでよく耳にする「放射線」という言葉、何か特別なものだという気がしたり、少し怖い感じを受けたりしていませんか?ところが実際には、放射線とは自然の姿の一つであって、常に私たちの身の回りを満たしている存在なのです。炎と比べて目に見えないため人類が長い間その存在に気がつかなかった放射線も、その物理的な性質が明らかにされて、今や火と並ぶ重要な道具の一つになりました。例えば、体の奥深いところに固まっているがんに放射線を外から照射することで、患者さんへの負担が少ない、切らずに治す治療ができるようになりました。今回の講義では、日本が世界をリードする重粒子線がん治療など放射線医学利用の先端の話題をいくつかとりあげて、その成果と将来性をご紹介するとともに、放射線発生装置としての加速器など、放射線の海を渡る大航海時代に欠かせぬ技術もご案内したいと思います。

         
 (図.仙骨骨肉腫の治療例)