量子の世界への旅立ち
 
 太陽からの光や電球の光では色の成分は連続的に分布するのに,水銀ランプやナトリウムランプの光はとびとびの波長のところでしか光っていません。原子のような極めて微小な世界では、電子はとびとびのエネルギー状態しかとれなくてしかも波の性質を持つと考えると、これらのことが説明できることを、ボーアやド・ブロイが示しました。また、光も光子と呼ばれる粒子の性質をもつことが明らかにされました。このように原子のようなミクロの世界を支配する法則は量子力学と呼ばれ、我々の日常生活で体験できるニュートン力学(古典力学)とはかけ離れた、不思議な性質を持っています。電子のような粒子も実は波動であり、これが定在波となって原子核の周りを雲のように取り巻いています。一見へんてこで不思議な、量子力学の支配する原子の世界の扉を開いてみましょう。
図の(a)はワイングラスの縁をこすると音が出る様子、(b)は小さな水滴の中に閉じ込められた光の分布、(c)は水素原子のまわりの電子雲の様子を表します。これらには共通のつながりがあることが分かります。