宇宙への旅立ち
宇宙の始まりと物質(元素・素粒子)の起源
 宇宙は今から約137億年前に、ビッグバンと呼ばれる大爆発で始まったと考えられています。私たちの宇宙には、空間3次元と時間1次元とをあわせて4次元の自由度しかないのでしょうか。灼熱の宇宙は急激な膨張とともに冷え、やがて星や銀河が生まれ、現在の豊かな物質構造を持つ宇宙に進化してきました。物質をかたち作っている基本となっている元素や素粒子は、いつ、どこで、どのようにして作られたのでしょうか。

ビッグバン宇宙と量子世界との不思議な結びつき
 「宇宙の始まり」を研究する天文学者と「物質および真空の性質」を研究する物理学者とが手を結んで研究を重ねてきた結果、宇宙の自由度として少なくとも10次元が必要であり、相対性理論が支配する広大な宇宙といえども、誕生直後には小さな火の玉宇宙だった時期があり、その中で繰り広げられた量子過程によって作り出されたゆらぎが成長して、今日私たちが目にするような多様で美しい「かたち」を持った宇宙に進化してきたのではないか、と考える新しい宇宙観が築かれつつあります。

 私たち科学者がどのようにしてこのような宇宙進化の概念に至ったのか、その研究の最先端を紹介しましょう。